つぶれた?
昔からおいしかったラーメン屋、I門屋。
今日通りがかったらシャッターが下ろされていてその前に袋に入った瓦礫が積んでありました。
看板の文字は削り落とされていて、どう見てもリニュアルではなく店じまいした様子。
やっぱりなー という感想です。
このI門屋、昔はそれはそれは美味しくて、かなり遠方からのお客さんも多く、いつも並ばないと食べられませんでした。
当時のお店はそれはそれはオンボロでした。
間口はガラスの引き戸4枚分。
外に自動券売機が1台、いや、それはかなりたってから設置されたんだっけな。
当初は中にあったんだっけな、それとも券売機なんてなくてカウンターのみの席に座ってから口頭で注文したんだっけな。
記憶も薄れるくらい昔から通っていました。
私はネギチャーシューの中盛、いつも同じでした。
カウンターのどの席からでも中の厨房の様子が見えて、待っている間もそれほど苦になりませんでした。
厨房の中のキーマンは麺を茹でる人。
白い下着シャツでタオルを頭に巻いて無駄口もたたかずひたすら麺を茹でていました。
時々、斜視ぎみの目で鋭い一瞥を客のほうに浴びせる、ちょっと怖そうな人でした。
麺を茹でつつスープの準備をし、茹であがった麺を器に入れると盛り付け担当の人が注文に応じてトッピングしていきます。
さらに裏方の人はネギを刻んだりチャーシューを切ったり器を並べたり器を下げたり、全体がとても機能的に動いていました。
それから数年後、お店はリニュアルしました。
ほとんど目立たないくらいのリニュアルですが、大きく変わったのは厨房の職人さん(料理人さん)が変わったことと、メニューが若干増えたことです。
その時に外に券売機を設置したのでした。
リニュアル後に行って、あれっ、と思いました。
味が変わっているのです。
はっきりとはわかりませんが確かに以前と違うような気がしました。
そして、ある時は以前と同じ味だけど、ある時は全然違う味だと感じました。
自分の体調のせいなのかな、とも思いました。
お店は相変わらず繁盛していました。
そしてさらに数年後、お店は大々的にリニュアルしました。
今のお店になったのです。
しゃれたカウンター席になりました。
店内は大きく手を入れたので以前のように厨房の様子をみることはできなくなりました。
味は大きく変わりました。
はっきりしました。
おちたのです。
客足は徐々に落ちて行ったようで、いつ行っても待たされることはなく、すぐに券を買えるようになりました。
そのようになっても年に数回、行きつづけました。
昔の味はあんなだったよなー などと思いながら食していました。
そしていつかは今日のような日が来ちゃうんだろうな、と思いつつ通っていました。
昔のままのオンボロで営業し続けていてほしかったです。