だらけた話を書いたらだらけた文章になった。
昼にパスタを作ろうと冷蔵庫を物色していて、ニンニクと胡椒が切れているのに気づいた。雨もあがったみたいだし、近くのスーパーへ買い物にいくことにした。ついでにパンづくりの材料の強力粉とスキムミルクも残り少なかったのでこれも買うつもりで
「ちょっとスーパーまで行ってくる。」
と、財布を持って出掛かると
「じゃあ、ついでにキャベツ半玉買ってきて。」
といわれて1000円渡された。
スーパーで所定のものをかごに入れてレジに進む。
寒く雨上がりの土曜の昼、スーパーは空いている。
稼働しているレジは2台。
こんな時、どちらのレジに並んだら早いか、計算する。
一方は買い物籠満載の中年主婦。これはかごの中身が半分ほどスキャンし終わっている。
もう一方のレジは空いていたが、今まさにレジにたどり着いた老主婦がいてこちらは籠に1/3ほどの商品がはいっている。
レジの方に歩きながら、どちらに並ぼうか迷ったその一瞬にお弁当とお茶を持ったお兄ちゃんに中年主婦の方に並ばれてしまった。
これで私の並ぶべきレジが決まった。
私は老主婦の後ろに並んだ。
順調に進み、老主婦にお釣りも渡し終わったこちらのレジに対し、あちらの中年主婦はやっとスキャンし終わったところ。
よしっ、と思ったその時、老主婦がレジ係に話しかけた。
「昨日、焼き芋買っていったのよ。」
「いつもありがとうございます。」
「ムスメが好きなもので、2本買おうかと思ったんだけど、1本にしといたのよ。」
(…おいおい、世間話かよ。早くしてくんねーかなー。)
「…はあ」
「でね、家に帰って半分に割ったら 中が真っ黒なのよ。どうにかなっちゃって、あれ、機械がおかしくなっちゃったんじゃないの?」
「そうでしたか、それはおそらく機械ではなくて、お芋が傷んでいたのだと思います。あちらの…」
「もってこようかと思ったんだけど、まあ、話だけ、話だけしとこうと思ってさ。だけどまっ黒だったよ。」
「それは申し訳ございませんでした。レシートをお持ちいただいてあちらのカウンターでお話しいただければ新しいものと…」
「レシートは私はいつもすぐ捨てるの!そんなんじゃなく、話だけと思ってさ。だけど、あれじゃ食べられないよねー、まっ黒なんだもん。持ってこようかと思ったんだけどまあ話だけでもと、ね。」
このあたりで異変に気づいた店側。
新たな係員が出てきて私に
「お客様、どうぞこちらのレジに」
とクローズしていたレジを開けた。
私の会計が終わり、袋詰めしていると件の老主婦が私に聞こえるように、
「あら、あの人どこに行っちゃったのかしら。話だけしたのに。」
と、老人特有の張りのない濁声で抑えの効かないボリュームでつぶやいた。
レジ係は焼き芋コーナーにいって中身が黒くない焼き芋を品定めしている。
老主婦は会計はとうに終わり、レジ係もいないのだから、その場を離れて袋詰めすればいいと思うのだが、その場を離れず、レジ係を目で追っている。ちゃんといい焼き芋を選んでくれるか気掛かりそうに。
今回のレジ順は途中までは読み通りだったけど見事にやられてしまった。
「フォーク並び」ならこんなことにはならないよなぁ。
スーパーで「フォーク並び」は無理なのかなぁ。
こんな顛末と感想を話すと、
「スーパーじゃぁフォーク並びはねー。」
ということてした。
しかし、買い物の内容を聞いて、1000円札を1枚握らせたあの、見切りというか、間合いというか、すげーなー。