移り気なブログ

テーマなどない自由気ままな雑記帳です。

宅急便のお兄ちゃんに日本文化を感じたこと。

ピンポ~ン。
宅急便でした。
シャチハタを捺して段ボールを受け取るときにお兄ちゃんに
「クールの冷凍便ですので。」
と言って渡されました。


この一言に日本文化を感じたんですね。


お兄ちゃんは瞬時に、(奥さんではなく旦那さんが出てきたか、奥さんならいつごろ何が配送されてくるか把握しているだろうけど旦那さんじゃきっとどんなものが宅配されたか内容を把握していないだろうな、もし奥さんが留守で旦那さんが冷凍便だと気づかずにしばらくテーブルの上にでも置かれてしまったらダメになっちゃうな、一言注意を促しておいた方がいいな。)と思いを致し「クールの冷凍便ですので。」ということになったのではないかな。


このような心遣いは日本人特有のものではないかな、と思います。
大震災の時の被災者の言動に、その思いやり・秩序・冷静さetcに外国の注目が集まりました。
他人を気遣う心、それが何の考えもなしにすごく自然に表現できる、そんな日本人でよかったと思います。
「クールの冷凍便ですので。」
こう一言添えて手渡してくれる気遣いは、あるいはマニュアルにあるのかもしれませんが、たとえマニュアルだったとしても自然に言えて自然にふるまえるのは日本人だからだと思います。

配送業としては相手に配送が終了した時点で契約は完遂されたのですから、その後の配送品のありようにまで気を配る必要はありません。
でも、このお兄ちゃんは私と顔を合わせたとき、瞬時に判断したのです、「クールの冷凍便ですので。」と言い添えた方がいいと。


ここで突然ブータンの話。
世界一、幸せ指数が高い国ということで注目を浴びている国。
先ごろ、国王夫妻が訪日して、その時の夫妻のたたずまいに感動しました。
そのブータン政府で首相フェローをしていた @mtamaco さん。

「ブータン、これでいいのだ」

という本を書いた人です(私は、まだ読んでいません)。
その方のツィートを引用します。

ケータイをなくしてしまった。でも日本だから、大した心配もせず、「きっと出てくる!」と自然に思っていることに気づいた。そう思えるって、すごいことだよなぁ。SIMロックがかかってるのも一因だろうけど、日本、すごい。ブータンではSIMフリーなのもあって、まず返ってこない。

日本の人はブータンを幸せの国でうらやましいというけれど。ブータンでケータイをなくすと、絶対戻ってこないとまずあきらめるし(そして実際返ってこない)、日本でなくすと、まぁ大丈夫だろうと思える。そう考えると、日本すごいよなぁ。日本には、顔の見えない相手への善意がある。

なくしたケータイが返ってくるように、日本には顔の見えない相手に対する善意があるように思う。ブータンの善意は、顔の見える相手への善意じゃないか。顔が見えない相手・不特定多数の人には想像力が働かないように感じる。ケータイをなくすと返ってこないし、間違え電話の切り方にも、感じたなぁ。

ブータンではしょっちゅう間違え電話がかかってくる。たとえば日曜日の朝にケータイがなるので取ると、いきなり「おい、ウゲン!」と言われる。「すみません、私はウゲンではなく、たまこという者ですが…」というと「あぁ!?」とキレられる。「あの、ですから…」と説明すると突然ガチャンと切られる。

ブータンの人は、目の前に相手がいたら、相手を知っていたり状況が見えてたら、そんな失礼なことはしないんだ。ただ、相手が見えないと、大変失礼であると思う。日本だったら間違え電話、知らない相手で二度と会うことはないだろうとわかっていても丁寧に切るよね。「失礼いたしました…」と。

こういうところでも、ブータンは、コミュニティ(共同体)はあるけれど、ソサエティ(社会)はないんだよなぁと思う。知らないもの同士がたくさんいる場の秩序、というのがあんまりない。「ルール」だとか、「(相手を問わない)マナー」だとか。


ああ、誤解のないように言っておきますが、@mtamacoさんは決してブータン批判をしているのではありません。
それどころかブータン大好き人間とお見受けします。
ブータンをよく知っているだけに、通り一遍の報道とかでは触れられないブータンの襞のようなところまで伝えようとしています。
ツイッターをフォローしていると、ブータン大好き、ブータンもっと知って、という気持ちが伝わってきます。


で、これが「クールの冷凍便ですので。」の中身です。
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その後、@mtamacoさんの携帯は出てきたそうです。