移り気なブログ

テーマなどない自由気ままな雑記帳です。

(常念平の夜明け)


常念岳で中学生の集団登山にかち合ったことがある。
3〜4人のグループに分かれて山頂から下山していた。
その中で女の先生と3人の男子生徒のグループが目に付いた。

その4人のグループは無言。
時々先生の黄色い声が届く。
ひとりの生徒が上手に下れないでいる。
ごく軽い運動障害がある様子。
ゴロゴロの石を避けて歩くのにかなりゆっくりのペースである。

先生の叱咤激励が絶え間なく続いていた。

下りきって,常念小屋の前で休んでいると、件のグループも下山してきて、近くで立ち止まった。
はっきりと姿は見えるが声は聞こえない距離。

先生はいきなりあの生徒のほほをつまんで力いっぱいゆすり始めた!!
生徒は痛そうに、しかしされるがままになっている。
体が大きくぐらつく。
生徒は懸命に足を踏ん張っている。

どうやら下るのが遅かったことを叱られているらしい。
仲間の2人の生徒はそばにいてあらぬ方向を見ている。無言…。

唖然とした。
あれだけの力でつねられたら、きっと痣ができたことだろう。
なにが気に入らなかったのか知らないが、ひどいことをする。

その日の常念小屋は超満員で,おそらく小屋に泊まっただろう彼らを見つけることはできなかった。
小屋の夕飯がのどを通らなかった。

あの子はもう2度と山登りをしないだろうな、と暗澹たる気持ちになった。